mj-lionの備忘録

暇な法律家による,読書・映画等についての覚書です。

映画『イミテーション・ゲーム』 と、サイモン・シン『暗号解読』

サイモン・シン『暗号解読』に、小学生の頃どはまりした。あっという間に読みきったのを、とてもよく覚えている。

当時、名探偵コナンヲタになり始めたばかりのぼくには完璧な本だった。

ギリシャ時代の古典的な(とはいえよくできている)暗号から、エニグマ、それ以降の暗号までが、わかりやすく紹介されている。小学生のぼくにも暗号の仕組みがわかるような記述だった(もっとも、十分に理解できていたかは謎ですが)。


そして、この映画『イミテーション・ゲーム』は、エニグマ解読に成功した、イギリスの暗号分析チームのチェーリングとその同僚の物語だ。

映画としては、エニグマの仕組みや、解読した具体的プロセスにはそこまで着目されていない。

チェーリングの功績としては、エニグマ解読により、1400万人以上を救ったとも言われる。しかし、彼(ら)の記録は、50年近く政府機密とされたため、功績に対する正当な評価を受けることなく、チェーリングは亡くなっている(しかも自殺という見方が大勢のようである)。

歴史に埋もれてしまったが、偉大な功績を遺した人々がたくさんいる。あるいは、悲劇もまた埋もれたままになっているはずだ。

とある海外新聞の、個人史のコーナーで、かつて女性がなかなか取り上げられて来なかった、という話がある。TEDトークでみた話だ。

歴史とは何か。容易に解読した気になってしまってはいけないのだ、なんて思った映画でした。