吉田裕『日本人の戦争観』と映画『この世界の片隅に』
歴史の説明をみていると,「その出来事って同時代的にはどう思われていたのかなぁ」なんて疑問が湧くことはないだろうか。
人々の時事に関する関心度は一様ではない。コロナウイルスに敏感な友人は大量のマスクを買ったというけど,そうでもない人はとりあえず静観している。
きっと,むかしもそうだったに違いないと思っている。メディアの数とか,アクセスできる情報量・媒体に差はあれども,何らかの出来事について「(国民に)〇〇と捉えられた」「気運が高まった」という言説は,即座には信用ならない(と思っている)。
吉田裕『日本人の戦争観 戦後史のなかの変容』(岩波現代文庫,2005)は,太平洋戦争に対する戦争観の変容について,時には数量的に,社会学的に,論証してくれる。同時代的な感覚を知りたいという欲望が少し満たされた。
そういえば,映画『この世界の片隅に』は,人々の同時代的な戦争観を示していると思う。
あえて,そういうセリフも仕組まれているから,制作時から意識されていると思う。例えば,「戦争は遠いところでやっている」旨の発言があったり。
しかし発言の一方で,少しずつ服装等に変化がみられていく・・・・・・。これはまた別の機会に整理したい。